強く賢くなろう~池部秀則のブログ

前向きになれる言葉を探して

八日目の蟬

醤油や、米や、そういったものを手に取り、買っていいものかどうか悩む。今気付いた。醤油だの米だというものは、ただの商品でなく、暮らしの保証なのだ。明日もあさってもそれを使うという、家で食事をすることができるという、穏やかな暮らしの保証。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上は角田光代『八日目の蟬』の一節。テレビドラマにもなったし、映画にもなった。なるほど、映像関係者から注目されるだけあって、傑作である。

前半の主人公・希和子が不倫相手の赤ん坊を"盗み"逃避行をつづけるさなか。窮地に追い込まれると醤油や米といった日用品の捉え方が変わる。角田光代が優れた小説家であるゆえん。ちなみに後半の主人公が成長したこの赤ん坊。